今年に入ってからも、より時間が無くなっており、本を読む時間も取れていない状況でしたが、連休前に、せめて話題の本くらいはと、"海賊と呼ばれた男"を買い、今読みながら、色々な事を考えさせられています。
出光興産創業者の出光佐三氏の、壮絶としか言い様のない、生き様、使命感、などについては、読まれる方それぞれに感じる事があると思いますので、ここでは触れませんが、率直な感想として、何故もっとこんな素晴らしい企業の話が広く伝わっていないのか?という事と、こういう壮絶な”戦い”をして来られた人や企業などがあったから、現在の営みがあるのだと改めて感じました。
その頃の”戦い”とは、何も、戦争自体の話ではなく、日露戦争で世界の列強国に肩を並べ、第二次世界大戦で敗戦し復興を遂げていくという過程では、日本人全体がそれぞれの立場で戦っていたのだと思います。
戦後教育から、イデオロギーの問題などで、我々は近代史をしっかり教えられずに来ましたが、どういう思想であれ、その歴史、自分達のルーツを知る事は、そもそも今の自分達を肯定するにも必要だと思います。
戦争は悪いし、人を殺すなどあってはならない事ですが、その背景も知らずに、現在の様な、生きていく上においての苦労をしていない人達が、今の状況においての判断で、軽々しく当時の是非を言う事などできないと思います。
勿論、戦争を肯定しているのではありません。
色々な意味で、”戦い”を経験していない今の日本人が、これから大転換していく中で、色々な決断をしていけるのか?と、上っ面の論議を聞く度に不安を感じるのです。
堀場最高顧問が、人間が本当にパニックになるのは、今日から食べる物が無いという状況と、死にたくないのに殺されるという事しかないと仰られますが、生死を分けた判断を繰り返して来た人達の事を、平和で物が余った時代に生まれ育った我々が、その判断の是非を考えられる筈がないのです。
良いも悪いも、今、有るのは、その歴史が有ったからであり、イデオロギーが歴史を変えられるわけではないので、しっかりとその事実は伝えていかなくてはならないと思います。
ウエダ本社も、5月1日で75周年を迎えましたが、この本とも重なる時代を潜り抜けて、戦って来たから今を迎えられるのだと思いますし、そんな歴史が刻まれた組織は、決して我々だけのものではないので、やはり、先の時代に繋げていかなくてはならないと改めて感じました。
最後に、こんな素晴らしい精神で創業された企業が、それだけの評価をされているのか?については疑問のあるところであり、戦後の高度成長の中では、二番手、三番手であっても、極端に言えば、素晴らしい”精神”が無くとも、仕組み化がうまい方が、売上、利益を上げ、拡大し、賞賛されて来たのではないかと思います。
今後の日本においては、こんな歴史や、精神を持っている所を、もっともっと賞賛し、そんな企業が実際、好業績になるという社会を形成していく事、それがこれだけの歴史や背景を持ち、少子高齢化社会に向かっていく我々が、示すべき未来像なのではないでしょうか?
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