京都青果合同(株)の執行役員であり、京野菜マイスターでもある松本部長と、フードデザイナーズネットワーク代表理事の中山さんという異色の顔合わせが良かったのか、当初25名定員にしていた所に50名の申し込みがあり、動線を変えてもらわないといけない盛況となりました。
中山さんと繋がる、或いは支持する人達は、京果会館に集まって欲しい層であるのと、京果会館の強みである、京都では100%のシェアであり、全国の産地ともネットワークを持つ業界大手の京果さんの存在を表す組み合わせでもあったのですが、今まで行なって来たセッションの中でも、指折りの面白さでした。
特に30数年、誇りと愛着を持って、農家と野菜流通に関わって来られた松本部長のお話は、お世辞抜きで格好良かったですね。
話の中身もさる事ながら、今回のセッションで私は二つの大きな問題を感じました。
一つは、物事は決して上辺だけではなく、その下の階層から全てをしっかり見て、判断しないといけないし、そういう目を養わなくてならないという事です。
有機、無農薬は、良いですし、それを広げていく事は重要ですが、だからと言って市場流通している物が悪く、直売の方が、新鮮で良い物という様に思わされていないでしょうか?
直売は逆に言えば、化学肥料などの基準は有りません。
又、責任も取れません。
それこそ、"有機"とうたっていても、基準に縛られない中の話ですから、全てが信用できる物とは限らないし、分からないのです。
中央市場の元締めという立場では、そういう事をしっかり守っているという自負、又、ちょっと基準をオーバーしただけで人体には影響がないと言われているのに、それまでの農家の苦労も全く水の泡となってしまう事への理不尽さ、市場を通さない物の方があたかも良いかのような流れに反発も持っておられました。
そして、自分は、仕事を続けられる限り、市場流通の良さをアピールし、この大切な機能を残す事に全てをかけます!とも仰っていました。
この様な、ある一方方向の流れで、他方の良さを見えなくしてしまっている事って、見渡せばたくさんあるのではないか?とハッとさせられました。
一つの流れがある時、その流れでは無いことがあたかも悪の様に言われ、目の敵扱いされてしまう事がよくありますが、この傾向はかなり危険だと思います。
そしてもう一つ感じた大きな問題は、仕事への対し方であり、仕事の尊さです。
何十年も一つの事を叩き上げていくと、人間が鍛えられ、あれだけ自負心や誇りを持てるまでになるのだと、改めて感心すると共に、昨今の働き方、スキルやマニュアルに頼った様な働き方で、ましてや負荷を嫌う働き方からは、あの様な格好良さは生まれないと思います。
そんな人間しか経験する事ができない、仕事を通して得られる、"熟練"という成長を自ら放棄する風潮に流れている様な気がします。
京果会館は、単なる飲食店が集まる商業ビルではなく、元々から有る講堂を、ワークショップやイベント会場に仕立てながら、"食"をテーマにした様々な情報を発信し、“食"を通して日本を豊かにしていく人、魅力溢れる人を輩出していく食文化の発信基地としていきたいと思います。
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