先日の医療と宗教を考える研究会での、同志社大学の篠原先生のお話で、留めておきたい言葉は、経済の核心は「分業」と「交換」であるという事でした。
経済は分業と交換の仕組みがうまく機能しているかを考え、もし機能していなければ、どうあるべきかを考えるというお話は、自分なりに納得のいく話でした。
付加価値、存在価値がないと駄目だと社内でも話をしますが、これは個人においても全く同じで、私が日本人の仕事がおかしいと言うのも、この原則に基づいていないからです。
経済の元は物々交換、お互いの必要な物を、釣りあいが取れるから交換しようとした所にありますが、経済活動の中にあるものは全てはこの原理の中にあるのです。
給料だって例外ではありません。
本来は、会社側もこの人なら、この能力、仕事なら、月10万円であれば交換しても良いと考えるのか、100万円でも等しいと考えるのか?と考えるべき所が、終身雇用、年功序列の弊害で、この様な本来の原理を隠してしまったと思います。
又、この原理に従うと、その分業とそれを欲しいと思う人がその価値を交換するという事が成り立つので、色々な役割の人が認められるのですが、効率追求の中、ある面だけで優劣をつけるという様に歪んでしまったと思います。
この「効率」という概念も、本来は、社会の持っている資源を無駄なく使うというというものであったのが、利己主義と物欲だ
けを反映する満足感を追求してきて、効率という言葉も全く違う意味で使われる様になったという事でした。
しかし、今後は「効率」と「公正」という概念が重要になってきて、価値観が大きく変化しているとの事でした。
西村先生のお話でも知足と経済は成り立つか?というテーマがあり、その手の話になると、いつもブータンの話題となり、他の場面でもそうなのですが、凄い学者や宗教家や経済人が、ああでもない、こうでもないという論議をするのです。
この点について言えば、経営品質系を勉強している人からすれば、皆、明確な答えを持っているのではないかと思います。
伊那に行けば答えがありますと。
何せ、そのブータンの国王と親交が深かった元世銀副総裁の西水美恵子さんが、一度行きたいと言われ、そこに入った際、ブータンに下り立った時と同じ雰囲気を感じたと言わしめた会社があるのですから。
その真髄は年輪経営だと思います。
成長はすべきだが、過度な成長はどこかに必ず歪を生むからそれを目指すべきではなく、一年一年しっかり成長をする、それが全ての摂理だと言われるのです。
動物はお腹が満たされれば必要以上に狩をしません。
欲に目がくらんだ人間だけが必要以上に、自分だけ儲けて・・という活動をするのですが、世界競争の中では、それは必要だと言う人も多いでしょう。
ただ、必要以上の安さ追求や、規模拡大は、必ずどこかで、不正な労働や、紛争や、環境破壊などを起こしていて、地球規模、宇宙規模でみれば、やはり自分勝手な論理で動いている事となると思います。
知足と経済は成り立つか?については、伊那食品さんを見ればはっきり成り立つと言えます。
伊那食品さんの社員さんは、自分がホームセンターに買い物に行った際にでも、後から入ってこられるかも知れない、お年寄りや体の不自由な方の為に、自分達は、一番遠い所から駐車をしなさいという所まで徹底的に教育されています。
それだけ他の人には迷惑を掛けないでおこうとされる社員さんばかりで仕事をされ、48期連続増収増益を成し遂げられていたのです。
日本には既に知足と経済のモデル様な会社があるのですから、こういう会社が最も尊敬される会社になるべきであり、そんな国を目指していくべきだと思います。
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