2013年4月21日日曜日

数十年後のビデオレター

4月20日付けで、ウエダ一筋に42年務めて頂いた元管理部長が退任されました。

またまたウエダにとって、精神的に大きな穴が開いた感じでもあり、淋しい限りです、

私が入る事となってから、貸し渋り、貸し剥がしと言われた頃の銀行との怒鳴り合いの交渉や、仕入先から、力づくでの現金支払いへの変更要求とそれに関しての出荷停止措置、又、それに絡んだグループ内での不明瞭な資金流出などなど、当時、四面楚歌状態で正に”戦って来た”経緯を、唯一知っておられる方でした。

正直、そんな苦境を乗り切っていく戦略を練ってもらえる、”切れ者”ではありませんでしたし、誠に失礼ながら、関わり上からも、一番怒った回数もある方でした。

しかし、内心は腹立たしかったと思いますが、一度も反論される事なく、ずっと堪えて頂いていた様に、正に”実直”という言葉がピッタリの、会社の事を誰よりも思って頂いていた方でしたので、定年も関係なく居て頂きたかったのですが、介護の問題もあり、定年を機に退職される事となったのでした。

先日、その方の送別会で、社員達がサプライズで用意してくれた、お嬢さんからのビデオレターには、
長年、苦しい事にも愚痴をこぼさず、家族の為に頑張ってくれたお父さんへの感謝が述べられていました。
それと共に、「社長の事を助けて欲しいと、千恵子(亡くなった私の母)さんに言われているから、自分にはその使命がある」と、ご家族に言っておられたとの話もされていました。

この話は私自身も、元部長から数ヶ月前に初めて聞かされたのですが、お嬢さんの感謝の言葉だけでも涙腺がやられてるのに、そんな事まで家族に話されて勤められて頂いていたと思うと、涙を拭いきれませんでした。

創業者の娘である私の母は、自分が小さい頃から手伝い、言わば青春も捧げて来たウエダを残したいという想いは誰よりも強かったと思います。
その会社こに”入らざるを得なくなった”私への協力を、自分では何もできないので、この方の実直さにかけていたのだと思います。

他の社員からすれば、”社長も涙もろくなったなあ”くらいの感覚だったかもしれませんが、インタビューを見ながら、色々な人の想いを感じると共に、業績が悪かったせいで、社員の人生や家族など、どれだけの人に歪みをもたらしていたのか?という申し訳ない気持ちと、そんな中でも毎朝早くから文句も言わず、出勤されていた事への感謝など、実は、感動だけではない、入り混じった心境だったのです。

やはり会社は、良い成績を上げないと誰の為にもなりません。

今、まだまだ結果が出ていないという事においては、やはり私の責任であり、その能力不足から、十分報いる事ができず、負担を強いている状況であるのですが、そんな中、ウエダ本社では結婚や、出産が続いています。

大変嬉しいオメデタイ話なのですが、その反面、大きな責任を感じます。

これから生まれて来る子供達が数十年後、今居る社員達も、このお嬢さんの様に、立派に成長されたお子さんから感謝を述べられたり、家族の方から、良い生活を送れたと言ってもらえる様な会社を築いていきたいと思います。

そして、数十年後にも、その子供達が、”お父さん(お母さん)、良い会社で勤められて良かったね”と言っているビデオレター(形は変わっているでしょうが)を、皆で見たいものです。


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