2007年1月25日木曜日

阪神大震災 被災記⑤

山の方へ向かって行くと、同じ神戸でも全く状況は違っていました。
家も倒壊などしていなかったですし、店も開いていました。

しばらく走るときれいなコンビニがありました。
私の居た所では店がきれいな状態であるなんて考えられませんでしたから、迷わず入りました。
中に入ると、やはり状況は違って、お菓子類が殆どでしたがまだ商品が残ってました。これも私が居た辺りでは空いている店もあったのですが、直ぐに全商品が無くなって閉店という状態でしたから、営業していて商品が残っているという事が驚きでした。
店を見渡すと、レジ横のボックスに”から揚げ君”が一つ残っていました。
昨日から、おにぎり一つと、菓子パンと缶入りのコーンポタージュスープしか食べていなかった私は喜んで、飲み物とパウンドケーキ(こんなのしかなかった)と共にこの最後の”から揚げ君”を頼みました。

レジのおばさんは、これ冷たくなっているからと、電子レンジにかけてくれました。
その待っている間、雑誌に目を通していた私は、次の瞬間耳を疑いました。
”お兄ちゃんゴメン!から揚げ焦がしてしもたから、捨てたんでお金返すわ”・・
同じ神戸でありながら状況が全く違う事を痛感しました。

私は力が抜けてしまい、何も言う気にもなれず、そのまま店を出ました。
今振り返っても、今までの人生の中で、食べ物に心残りがあるのは、この時の焦げた”から揚げ君”だけだと思います。

パウンドケーキを食べながら走っていくと通常営業しているガソリンスタンドがあり、そこで満タンにガソリンを入れ、これで時間がかかっても京都へ帰れると思いました。

つづく。

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