2008年7月13日日曜日

ウエダ再興記(44)~ 企業のミッションと価値観

今まで知らなかった京都を知っていくと、その奥深さに感服しました。
排他的に思っていた事が、実は奥ゆかしさであったり、相手を慮るところから行なわれている事であったり、文化や伝統産業などにある教えは、それぞれが今正に日本が失ってしまった心を持っている事に気づきました。

日本が世界に誇れる物は、何も半導体や精密機械などだけではないのだ、こういう精神文化こそ、日本が欧米にも堂々と誇れるものなのだという事に気づいたのです。
しかも、技術は真似されますが、この日本独特の精神文化は基本的には日本人でしか伝えられないものです。
京都の心は京都人でないとDNAに刻まれたところは伝えられないのと同じ様に。

そうすると、正に日本の文化を日本人が知っていく事が最も大事であり、日本の文化のイコールにも近い”京都”が凄いと初めて思いました。

会社の展開としても、ウエダ本社は京都の価値観でいかないと駄目だと思いました。
日本は欧米の資本主義を追いかけてきて、その価値観は、京都以外は全て東京の価値観と言っても過言ではないと思います。
大阪であれ、名古屋、福岡であれ、地域性はあっても、こと資本主義においては、皆東京の価値観です。
分かりやすく言えば、皆、売上が大きい方が”凄い”と認められます。
ところが、京都だけは、ポッと出の会社で幾ら売上が大きくても、”へー”って感じで、全く”凄い”と感じてもらえません。
それよりも、老舗というか、格というものが重要なのであり、売上が大きくても格上にはならないのです。
そういう皮膚感覚を皆が知らず知らずに持っているのです。

私はウエダに来て、経済界において、常に規模よりも上のランクの扱いを受ける事に違和感を持っていました。
又、ずっとこれが何故なのか理解できませんでした。
ウエダ本社は今年70周年を迎えましたが、京都には何百年という会社はたくさんあり、70年なんて大した事はありません。
ところが、京都が分かっていくにつれ、自分なりに納得したことがありました。
それは、事務機とか、OA機器なのか、そういう分野でいうと、言い方を変えると、ウエダがそういう分野を始めたという事で、ウエダ本社が一番老舗なのです。

それを皆机上論で理解しているではなく、皮膚感覚で感じているのです。
だから他府県の人が京都に入り込めない、難しいという事になるのだと思いますが、これはうちの様な小さい会社では大変大きな資産であり、真似はできないものです。

という事は、折角そういう様に見て頂けるウエダ本社としては、”その価値観を全面に吸収して、展開して行こう”
これが、世の中のニーズや社会に向けてやるべきミッションとウエダ本社の価値観が繋がった瞬間でした。

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