2017年1月4日水曜日

試験管の中のウエダ本社

新年明けましておめでとうございます。

ウエダ本社は5日からの営業ですので、年頭所感というものでもないのですが、いつもの土日ではなくアップ致します。

今年は多くの方が、トランプ大統領就任後の展開が全く読めない事から、不透明感について話されているのではないでしょうか?

欧州では3月のオランダ大統領選挙を皮切りに、4月にフランス大統領選、6月の国民議会選挙、8月からは、ドイツでの連邦議会選挙と続き、トランプ政権の舵取りとどの様に呼応していくのか?という事も、世界の不透明感を助長しています。

誤解を恐れずに言えば、日本が多少努力した所で、これらの動きで、一気に吹き飛んでしまうことや、世界の潮流に翻弄されてしまう事も予想されます。

果たして日本の役割はないのでしょうか?

昨年末に、「海賊と呼ばれた男」を観ました。

昨年、同じく大きな話題となった、「君の名は」「この世界の片隅に」も、それぞれ素晴らしい映画で、それぞれに考えさせられる名作でしたが、やはり経営者として、又、私個人の現況からしても、始まって直ぐからビシビシと来て、情けなさや恥ずかしさ、勇気と使命感など、色々な感情が入り混じって苦しくなるほどズシリと来ました。

一昨年の年始のブログにも書いているのですが、この映画のモデルとなった出光佐三氏が、問答しておられるものを纏めて、今から50年近く前の1969年に発刊された”働く人の資本主義”を改めて見てみると、更に又、ビシビシと来ます。

今年も更に、アベノミクスの実現の為に、一億総活躍社会、働き方の変革が、政策のど真ん中に置かれていきます。

制度だけが進んでいくのも危険だと思いますが、一方で、昨年これまた話題になったドラマ、「逃げるは恥だが役に立つ」でも取り上げられた、”やりがい搾取”という問題も、難しい、微妙な話だなあと思っていました。

イキイキと働くということは素晴らしいと思うのですが、それを搾取と論議されると、それ又、どうなのか?と。

この問題でも、出光氏は、この本の中で、”無私でない場合は全て搾取ですよ”とスッパリ仰っていました。

そうなんですよね、幾ら、イキイキと働く事が素晴らしいと言っても、それを経営者が利用しようとしたら、”搾取”であるし、本人の成長を考えて行なっている事であれば、それは”搾取”にはなりません。

又、この本では、1940年~1965年までアメリカの企業が、従業員が自発的に働く事を求めて、勤務時間の短縮、有給休暇の増加、給与・賞与の増額など様々の手段を行ったが全て失敗した事が書かれています。

既に50年以上前に、アメリカでデーターが出ているという事に又、日本が制度として、真似していかないか?が最も気になる所です。

欧米では自発的に働くというのも根本が対立闘争、個人主義の主張から来ることが起因しており、日本では、”お互いの為に働く”という外国にはない感覚で考えていく事が必要だと出光氏は仰っています。

そして、既に社長退任時の1966年に、試験管のなかの出光という言葉を社員に残されたそうです。

それは、”我々がやってきたことは石油業ではなく、それは手段である。”

”我々が行ったことは、出光という試験管の中に、日本人の仲の良い力という製品を作ったのである。”

そして、日本人離れした今の日本人が、一日も早く本来の日本人に立ちかえって、世界の平和と人類の福祉の為に、日本人全部が試験管の中に入ったつもりで、そこに仲の良い”働く人の資本主義”の実体を作ってみせること、それが日本人の世界的使命だと仰っています。

正に改めて、この不透明で、内向きになっていく世界の中で、働き方変革を唱える日本が、目指すべき指針がここにあるのではないでしょうか?

改めて、試験管のなかのウエダ本社で、働き方の変革に向かいたいと思います。

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