2008年3月9日日曜日

ウエダ再興記(28)~ 合併先の模索

全てが難題ではありましたが、リストラ計画も何も、全てはウエダ本社を再生する為ですから、その根幹は永年続いていた赤字から、脱却させる事です。

ウエダに来た頃は、ウエダ本社単体の売上は約22億円程でしたが、子会社からのロイヤリティー等を除いた本業では、最大時には2億円弱の赤字でした。
以前にも書きましたが、文具卸では、数十円のものも多くある中で、在庫も2億円程あり、時代遅れのオフコンで管理していて、在庫数字は合わなくて当然という状況でした。
倉庫などにある机の引き出しを開けると、いつの物か分からない伝票が出てきたり、処理されていない返品があったり、在庫が合わない事をしょうがない等としていると、全てがルーズになり、初めは悪気のない行為から、不正などにも繋がっていくのだと思います。

会社には沈滞ムードが蔓延していて,”皆こんな所で仕事してると健康な人でも体悪くなるやろ?”と、社員達に言いましたが、ホントにそう思った程、実際、空気が ”よどんでいる”という状況を、生まれて初めて経験しました。

そんな状況から脱却する、しかも、時間をかけている余裕はないとなると、私は文具卸は合併させるしかないと思いました。
世の中は卸不要論が叫ばれ、業界ではアスクルが登場し、文具卸を単独でやって行っても生きていけない、そう思いました。

初めは、物流事業を行なっている5社で合併するのが、一番実体にも合い、良いと思いましたが、後に2社が倒産した様に、それぞれの懐事情もかなり違っていましたから、5社が一緒になるというのは、早々に無理だと分かりました。
この頃は、全国的にも色々な再編の動きがあり、永年守られて来た流通三段階も崩れようとしていました。

その頃、子会社株の売却の交渉に行っていたU社会長から、色々な動きがあるが、ウエダは物流事業のお荷物があるので、それを含めても面倒を見てもらえる可能性があるのは、一つのグループしかないのではないか?というアドバイスを受けました。
と、当時に、もしくはP社が全国の卸を束ねる様な新業態を考えているらしいので、それ位しかないであろうと言われました。

P社というのはこのU社とは、仲が良くないのは業界では皆知っている会社です。
しかし、この話が面白そうだと感じた私は、瞬間的にU社会長に対して、ウエダ(業界ではU社の昔からの代理店として知られている)がそんなP社が立ち上げる事業に参加して良いのですか?と聞きました。
すると、U社会長は、”そりゃまず、ウエダが生き残れる事が先決だろう”と言われました。

後から聞くと、このP社の動きに参画したU社と懇意の他の卸は、これに参画する為にU社の上層部に相当根回しに通われたそうですが、私の場合、この瞬間の話で、根回しは一切行う事もありませんでした。

それで堂々とP社の門を叩いたのでした。

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