2018年10月6日土曜日

カイゼンと免疫

今週は連日大きなニュースがありました。

まず、トヨタ自動車とソフトバンクが、自動運転技術など新しいモビリティサービスで提携すると発表し、驚かされました。

またこの前日には、ホンダとGMが自動運転技術で提携と発表されており、これだけの規模の企業提携が連日発表される様な同時期に起こるという事で、時代の大きな転換を感じます。

時価総額1位のトヨタと2位のソフトバンクですが、企業体質や考え方では、水と油と言われる程、正反対の企業が、共同出資で新会社を作るというのは、単に自動運転技術を進めるという事だけでは、時代の転換を見誤ると思います。

豊田章男社長が、海外のライドシェアサービスを手掛ける企業を探すと、そこに必ず孫さんがいた、と言われる様に、ウーバー始め世界のライドシェアサービス企業の全てにソフトバンクは筆頭株主となっており、又、前日のホンダとGMの出資提携する先にも第二位の株主となっている様に、もう、TOYOTA、HONDAの自動車という”モノ”の勝負ではないという事や、Softbank、KDDI、NTTdocomo、という通信ですら、回線という”モノ”の勝負の時代は終わったという事だと思いますし、孫さんは、そんな枠での競争など考えていないから、常に、先に座席に座っておられたのだと思います。

所有からシェアという流れは明白で、今回の提携も、そこにも目が行きがちですが、そんな単純な話ではないと思います。

所有をしないという事は、家や会社という概念が変わるわけですから、持たない人にとっての、移動というものも、役割というのか目的が変わります。

賃貸かどうかという話ではなく、自分の”家”から所属している”会社”への移動の手段であった車は、決まった拠点を持たず、働き方も変わる中で、生活シーン全てが変わり、移動手段では無くなるので、そこで求められるものは何か?という話となり、そう考えると、誰と組むか?というのは、従来の枠組みで考える人や企業ではない事は明白です。

そんな風な事をイメージすると、今回の提携が意味する事、しかも連日大きな提携が発表された事は、大変大きな意味があると思いますが、更に今週には、京大の本庶特別教授がノーベル賞医学生理学賞を受賞されたというお目出たいニュースも飛び込んできました。

数十年間の研究を行って来られた事がたまたま今週に受賞となったという事なのでしょうが、AI、IOT時代のプラットフォーマーを目指してのグローバル企業の提携が発表される中、人間本来の免疫システムの可能性を突き詰めて来られた方が認められたというのも、希望の沸く話だと感じました。

ニュースでたまたま見た本庶教授のコメントが大変印象的でした。

”医者さえ余計な事をしなければ、人間本来の持っている免疫で全て治せるんですよ”

科学療法に偏重し、薬漬けにする現代医療、直ぐに薬に頼り、安全に、怪我をしない様に、失敗しない様にする教育にも、実は、以前から反発を持っているのですが、これは医療や教育だけの話ではなく、対処ばかり、改善ばかりで、モノの技術競争、スキル競争ばかりして来た産業界、経済界にも同じ構図があり、その発想でいけば、AI、IOT時代になれば、人間はやる事がドンドン無くなり、ロボットに追い抜かれるシンギュラリティ―を迎えてしまうのです。

人間が本来持っている免疫で全て治せる、などという”モノ”は、ロボットでもなかなか生み出せないのではないか?と思いますし、人間本来の持っている力を引き出していく事に向けていくと、全ての流れが変わっていく様に思います。

所有ではなくシェアになると、モノではなくサービスになり、目的や、その為に必要な手段が変わります。

そこへの大転換が望まれる中、”カイゼン”の権化であるトヨタが、変革者の孫さんと提携するという事に、未来の希望を託したいと思います。

勿論、人に託すだけではなく、その大転換の中で、我々は”働く”を追求していきたいと思います。
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