2018年3月4日日曜日

日本の病巣を取り除くこと

今週月曜日にはウエダ本社で、リヴオン代表の尾角光美さんが”日英の自死遺族支援の発展と課題〜社会政策の視点から”という講演とリヴオンの活動報告会を行なっていました。

日英の…というのも、代表の尾角さんが日本財団の国際フェローシップで英国留学しており、その報告という事もありながら、一方で、代表であり全ての収入源とも言える尾角さんが留学してしまって、どうなってしまうの?という不安の中、講演やワークショップを見事にこなして乗り切って頂いた水口さんから、支援者に向けてのご報告という会でした。

「乗り切って頂いた」と私が言うのも妙な表現ですが、私はこの財団の理事でもあり、又、そう言うと、ボランティア?社会貢献?という尺度でも思われると思いますが、そうではなく、年間3万人もの自殺者を出すという事は、経済的発展を遂げて来た日本の病巣であり、”働く”を考えていく我々にとっても、本質的に考えていくには”生きる”について考えていかなくてはなりません。
そして、”生きる”を考える為には、必ずある”死”というものも意識して、だからこそ、自分の人生をどう生きるのか?又、先祖から脈々と受け継がれて来た自分の命をどの様に捉え、その受け継いだ自分の時間をどの様に使っていくのか?から考えていかなくてはならないと思っています。

ましてや日本の自殺のもう一つの特徴である、中高年男性が多いという問題は、働き方、企業環境が大きく関わった話ですので、ウエダ本社としてもど真ん中の領域であり、これを本質的に改善していこうと思えば、企業を取り巻く社会環境、消費者(国民)意識から変えていかなくてはなりません。

そこには、哲学的思考や宗教心なども大きく関わる話で、そんな所から見直していかなくてはならないと思います。

今週は、発達障害や働きづらさを抱えた方の就職支援をされているエンカレッジさんの授業で、生徒さん達が職場見学に来られていましたが、そこでも我々の展開というよりは、まずは”働く”という事について、”仕事をやらなくてはならない“という感覚ではなく、少しでも自分の適正、やりたい事をイメージしてもらえる様に話させて頂きました。

三ヶ月に一度行なっている社員面談も今週で終わりましたが、今回の面談で一番嬉しかったのは、二年前に高校からの新卒で”二十歳“で入社した社員の圧倒的な成長でした。

その前からもあるにしろ、三ヶ月前の面談からの成長度合いに驚きましたが、高卒で二十歳という通り、彼は中学では荒れ、高校では約一年半引きこもっていました。

以前これはブログでも書きましたが、高卒採用で大きな問題だと思うのが、基本的に一回で決めないといけないという事と、これは大卒でも同じですが、今の時代、プライベートに関する事を何も聞いてはいけないという事です。

大事な人生が掛かってるのに、そんな馬鹿な!と言って、学校にも本人にも、私はトコトン聞くという事、可能な限り何度か来てもらうと言って、結果、彼が引きこもりを克服して二つ年下と一緒に卒業して来た事、じっくり話すと、恩返しという言葉が出てくる事に賭けて、採用枠を増やして採ったのですが、今回の面談で、彼が目的さえ決めれば、先輩達と比べてもしっかりやる事や、現場など、特に若い人がやりたがらない様な事を全く厭わず向かう事について、何故、そうできるのか?を聞くと、この二つ下の人達と混じって卒業を目指すと決めた時に、負けたくないという意識や、遅れていた事を取り戻したいという目標に対してやる事の癖づけができたのでは?との事でした。
又、彼は現場で年配の職人さんからも評判が良いので、その事も聞くと、現場というのは、所謂、3K的に、キツイ、厳しい所で、何も作れない我々は、その職人さん達にやってもらうしかないので、少しでも気持ち良くやってもらえる事を意識しているとの事でした。

一回の、殆どプライベートの事が聞けない面接では、うちの会社でも採用はできなかっただろう人物が、二年の間でこれだけ成長してくれているという事、そしてそんな成長ができるのも”働く”という事の素晴らしい所です。

一回の面接で、根掘り葉掘りも聞けない中で、どんな人かどうやって分かるのでしょう?

そしてそんな人を、表面だけ、成績だけで見ていて、業績だけ追いかけてやっていけば、おかしくなるのは当たり前だと思います。

いつも帰結は同じで恐縮ですが、今大変な問題だと思うので言い続けますが、働き方改革は時間だけの問題ではありません。

それらは働く事は悪い事の様なイメージを与えかねない、人も含めて、様々な事に対して、表面だけでしか判断できない、社会全体の問題であり、そんな病巣を取り除いていかなくてはならないと思います。

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