2017年9月10日日曜日

価値観の交差点

今週は、福井県の熊川宿という所に行っていました。

 鯖街道と言われる、日本海から京都に海産物を運ぶルートの宿場町として栄えた所が、きれいな形で残っているのですが、御多分に洩れず空き家となっており、綺麗な景観の危機だという事なのです。 

ウエダ本社では9月から新年度となっていますが、今年度私は地方も回って行こうとしています。 

今年京都流議定書も10周年を終え、一区切りをつけて今後は違う形で継続して行くと言っておりますが、京都流議定書で追いかけてきたのは、価値観の変革であり、数値化されない価値の見直しでした。 

講演などをさせて頂く際には言っていますが、規模(量)、効率、標準化(平準化)、偏差値、東京 という様な一方方向で流れてきた経済の行き詰まりに対して、大きさではない(質)、間、個性(多様性)、地方、が大事で、それを示していけるのが京都なので、一方方向で流れてきた価値観に迎合しない京都で、それでやっていけるという姿を見せる事により、個性のある人、企業、地域を見直し、生み出していこうとするものでした。 

それは今で言うとオープンイノベーションと言う事になり、大企業含めて猫も杓子もという感じになっていますが、既存の価値観のままで、外部との連携などを図っていても、それはオープンイノベーションというものには繋がらないと思います。

 逆流させるくらいの感覚でやらないと、本当のオープンイノベーションなど起こる筈などありません。

そういう意味で京都流議定書というのは、ある意味、それぞれの分野で逆流させる様な取り組みを行なっておられる人を集めていたというか、そもそも私自身が普段から、本業と関係の無い事ばかりに関わっている様に見えるのですが、逆流させる動きを行なっている人達と繋がっていたり、そんな人や組織に対して協力していたりするのです。 

京都流議定書を決してボランティアではなく、あくまで会社の為でもあると公言するのもこの点で、我々のオフィス領域も、効率化、均一化、そしてコスト追求という所 から脱して、人の可能性を尊重していくものにしていかないと落ちて行くばかりなのに対して、その価値観の逆流を目指しているのがウエダ本社という事なので、実は本業に思い切り重なっているのです。

 昨日は、鎌倉投信さんの受益者総会に参加していました。

 正に金融の世界で従来の価値観を逆流させる展開をして来られた会社で、大尊敬する会社ですが、鎌倉の会社が、年に一回の受益者総会、つまり投資家向けの決算報告会をわざわざ京都で行なっている所に、850名もの方が全国から集まっておられました。 

この会にも何度か参加していますが、今年は特に、ほとんど一般投資家の方と感じる位の雰囲気で、驚くのは、その方々が熱心に、出演されたそれぞれの社長の話を聴いておられる姿でした。 

それも、自分の投資したお金の利益を求めてという眼差しではなく、素晴らしい企業、活動に役立てて欲しいという、鎌倉投信さんの理念に沿ったものであり、正に価値観の逆流が起こっている光景でした。 

又今年嬉しかったのは、新井さんから依頼されて堀場社長に基調講演をお願いし、それが実現できた事です。 

このブログにも堀場製作所さんや、先代の最高顧問、そして現在の堀場厚会長兼社長の素晴らしさは何度も書いておりますが、排ガスの分析器などで圧倒的な世界シェアを誇る、言わばバリバリの日本の製造業の社長に、金融で価値観を逆流させて来た鎌倉投信さんの受益者総会で講演頂いたのは、私自身も価値観の交差点に遭遇できた感じで嬉しかったのです。

 堀場社長も1000人近い一般投資家の方だけの講演というのは、今までも無かったのではないか?との事でしたが、流石に、ユーモアタップリで会場を沸かし、そしてしっかりとひき込んでおられました。 

そこにはやはり、どんな精密機械の技術があっても、どんなグローバルな展開であっても、一番大事なのは、人であり、それぞれの人の尊厳を守る想いが溢れていました。

鎌倉投信さんの「結い」という商品名そのものだと思いますし、価値観の交差する所は、やはり「人」なんだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿