2016年5月28日土曜日

”人として”選ぶリーダー

今週は、伊勢志摩サミットがあり、オバマ大統領が広島訪問をされた事が話題となりました。

謝罪は無かった事や、ノーベル平和賞に関連してのポーズと言われたりもする様ですが、米国の現職大統領ですから、我々では想像もできない抵抗や、障壁があったでしょうし、それを押し切り、又、周到な準備を積み重ねてわざわざ行かれたという事には、”人として”、魅力を感じました。


一方、4年後には、オリンピックの開催地のホストとして、世界の人々をお迎えするかも知れないTOPの方は、法的にどうか?という問題ではなく、”人として”どうか?という話であり、早くに責任を取って辞めてもらいたいと思います。

よく大臣などの不祥事が出て、辞めて責任を取った事にするというケースがあり、それと同様に、辞めさせて又選挙でお金をかけるべきではないという人もいますが、選挙で団扇を配ったとか、選挙資金を貰ったという話とは全く違う、そもそもの”人として”の問題ですから、そんな”人”が職務を全されてもも都民は困る話だと思います。

カルビーの松本会長は、1ダラーアウトという事で、1ドルであっても不正使用があれば即刻クビと明確にしておられますが、私もよく社内では、1円でも駄目なものは駄目という話をします。

金額の大小ではなく、1ドルであっても駄目なものは駄目なのですが、特に最近の日本では、問題を混雑させて論議していたり、質と量(数)も分けて考えられなくなってしまっている様に感じます。
これも全てを数値化して数の大小で評価する様になって、質を見れなくなってしまったからではないでしょうか?

自戒を込めてTOPは、”人として”どうか?が重要だと思いますし、働く人や、市民、国民は、やはりTOPの理念、価値観で選んでいくべきだと思います。

”人として”の魅力を見せたオバマ大統領の後、アメリカ国民には、自分達のTOPは世界に影響を及ぼすTOPだという事を意識して、冷静に選んでもらいたいと切に願います。



2016年5月22日日曜日

人的資本バブル

今週はバブルでした。

と言っても金融のバブルではなく、凄い人達とお目にかかったり、お越し頂いたりという人的なバブルでした。

まず、何と、木曜日には田坂広志さんがウエダ本社にお越し下さいました !

ダボス会議を始め、世界のTOPリーダー達とも議論され、多くの経営者達が講演や塾などに押し寄せているという方が、わざわざ訪問をして頂けるという有り難い事だったのですが、昨年京都流議定書の基調講演をお願いした際から、我々の様な中小企業が、こんなイベントを継続して行っている事に関心を持って頂いての事でした。

マンツーマンで二時間以上もお話しさせて頂いただけでなく、今後の我々の取り組みも応援してやろうという有り難いお話しでした。

その日の夜は、高野登さんがルクロ本店に来られるというのを黒岩さんから聞いていたので、私も混ぜて頂いたのですが、寄田先生もお越しになられて、元リッツカールトン、ヨリタ歯科、ルクロという豪華なメンバーでのディナーでした。

翌日は、伊那食品の塚越会長や、沖縄教育出版の川畑会長もメンバーのトップフォーラムという勉強会が小倉であり参加していたのですが、同じ日にウエダ本社では、大久保寛司さんが来られるセミナーも有ったのに参加できないという勿体ない話で、この二日間は、経営品質、ホスピタリティー、人的資本という事において日本でTOPという方々と交差するバブル期でした。

今回の勉強会でも、九州を地場にするハローデイというスーパーの加治社長と、元はこのメンバーでもあったシャボン玉石鹸の森田社長のお話しでしたが、人的資本、理念経営について改めて勉強させて頂きました。

地場で活躍するスーパーという事でしたので、小規模なイメージと、ローカルに拘ったビジネスモデルでの成功のお話しかと思いきや、従業員数約5000名(内パート3700名)、50店舗で売上約700億という規模でありながら、徹底的にスタッフの人間教育を行ない、パート社員中心でも如何にお客様に喜んで頂くかを追求して、日本一視察が多いスーパーを作り上げておられるお話しで、人的資本を形成していくと、実際、会社も良くなり、業績も良くなるんですよ!と見せつけられた感じでした。

又、倒産寸前から引き継がれた私と同い年の加治社長の経緯は、規模は違えど似ている所が多く、うまくいかなかった間は自分が一人で責任を負っていたつもりで、皆がついて来なったが、そんな中でも残ってくれた仕入れ先、社員さんなどに感謝し、その感謝が伝わっていく様に、感謝をする、される経験を皆に積ませていくと、会社の空気が変わったというお話しは、ドキッとさせられたと共に、途中まで同じ感じでありながら、現在の差の原因が明確になりました。

無添加石鹸で有名なシャボン玉石鹸さんは、1974年頃、月商8000万あったものを全て無添加に切り替え、売上は一気に78万、社員は100人から5人となったそうです。
その後17年連続赤字でも、世の中に必要な物を追求されて18年目でようやく黒字化、今やウイルス対策や、水の有効利用など、思わぬ方向にまで研究が進んでいるという、時代の方が漸く追いついてきたという会社ですが、如何に理念、使命が大事かという強烈な例を見せて頂きました。

勉強会の翌日は、前回福岡で講演した際のご縁から、消滅する町と言われる大牟田で、やはり人の繋がりで町づくりをされている冨山さんにご案内頂きました。

ゆっくりもしたかったのですが、一度熊本にも入りたかったので、わがままを言って慌ただしく案内して頂き、これも数時間しか居れないので、何人かの方に見るべき所を教えて頂き、熊本を回って帰って来ました。

いつもいつも、人の繋がり、縁の話をしていますが、今週は本当にそのバブルの様な週でした。

金融資産は、バブルと言われる通り、泡と消えましたが、これら人的資本は消えるどころか蓄積されていくものです。

何故、田坂広志さんがわざわざお越し頂けたのか?

面白いと言って頂く京都流議定書というイベントも2、3年やっていただけでは、そんな事にはなっていないと思います。

9年も継続して来たからですが、それも継続してご協力頂く皆さんがあっての事ですし、それを作り上げてくれているスタッフのお蔭だという事、又、業績は恥かしいレベルではありながら、実質無借金状態で、イベントを継続できるレベルでやれている事に改めて感謝して、これからも人的資本を増強していき、その人的資本を使って、色々な領域、地域で価値を創り出していきたいと思います。

シャボン玉石鹸さん、今度は改心した気持ちが続く、心を洗える石鹸を開発して頂けないでしょうか?




2016年5月14日土曜日

信頼資本のタックスヘイブン

今週は久しぶりに東京出張もあり、ISLの野田社長、クラウドワークスの吉田社長、JINSの田中社長など、素晴らしい方々の所に、それぞれ別の用件で訪問させて頂きましたが、それぞれの皆さんの能力、構想力、そして、それを具体的な形にしていく実行力を感じ、大変刺激を受けて帰っての翌朝は、クオリア朝食会でした。

堀場最高顧問にご指導頂いてきたクオリアですが、お亡くなりになられた後、大変有り難い事に、息子さんである堀場製作所会長兼社長の堀場厚氏に引き継いで頂く事となり、初めての朝食会でした。

以前ブログにも書いた事がありますが、私は日本の企業において、親子間でこれだけ見事に、そのフィロソフィーを引き継ぎながら、別々の卓越したキャラクターを生かして発展されたという点で、最も見事な成功例だと思っています。

堀場雅夫氏、ワコールの塚本幸一氏、オムロンの立石一真氏、京セラの稲盛和夫氏など、京都には強烈な創業者がおられ、それこそ、堀場雅夫氏には、”自分達は会社の経営もさることながら、天下国家を考え、その為に協力して行動してきた。経営者たる者、そうあらなくてはならない”と、ご指導頂いて来ましたが、その一世代下の経営者の方で、私塾の様に下の経営者を指導されるケースはあまりなく、堀場厚氏も初めてだと仰っていました。

今や社員約7000人の内、4200人が外国人というグローバル企業にされたのは厚氏ですが、管理できる日本人に対して、狩猟型である欧米人を管理という意味ではなくマネージするには、”この人について行く”と本能的に思われないといけないと仰っていました。

そして、そんな風土を作るにも、その中で活躍できる日本人も育てるにも、一朝一夕にできるわけではなく、そう考えると、やはり会社の資産は人財しかなく、企業の強さはお金で買えないものをどれだけ持っているか?だというお話でした。


グローバルで大企業なのに、良い意味で中小企業的な風土、おもしろおかしくの社是の通り、自由闊達な雰囲気と団結力、様々なものが何とも言えないバランスがある様に感じるのは、厚氏曰く、マニュアル化されない事にどれだけ投資できているか?という事で、継続して行って来られたからだと思います。

稀代の親子名経営者にこんな形で勉強させて頂ける事、様々な方の繋がりから東京でも、素晴らしい方にお会いできる事、私にとってはこれらも、本当にお金で買えない資産だと思います。

こんな帳簿に載らない簿外の資産を集める、そんなタックスヘイブンを作っていきたいものです。


2016年5月8日日曜日

79年目からの足跡

今週はGWの合間の出勤でしたが、5月1日は78回目の創業記念日でした。

日曜日でもあり、79年目という事で、特段何もしていなかったのですが、FBで上げていると、色々とお声掛け頂く事も多く、積み重ねの重みを改めて感じていました。

自社の事であり、特に100年企業が1000社以上存在する京都では、79年目というのも目立つもの
ではないので、あまり意識していなかったのですが、先人達から継承された一日一日の積み重ね
の結果であるのですから、今居る我々もその重みを感じて、自分達の足跡をそこに積み重ねていかなくてはなりません。


新入社員も1か月が経ち、それぞれのキャラクターを出してくれていますが、今の所、働ける事が楽しい!この会社に入れて良かった!と言ってくれていたり、まだミスが許される間に克服したい!と積極的に電話に出てくれていたりで、皆に入ってもらって本当に良かったと思います。

誤解をされると困るのですが、我々の会社が素晴らしいと言っているのではありませんし、当たり前ですが、これから彼らも嫌になる事も沢山出てくるでしょう。

ただ我々は、でき得る限り、自社の大事にする事、価値観を発信し、それが良いと思う人に入って
もらいたいと思って、そこに一番時間と労力を掛けており、その事で少しでもミスマッチを無くしたいと思っているだけなのです。

又、ミスマッチを無くしたいというのも、決して会社側の都合だけで言っているのではありません。

大卒の新卒者が1年以内に10%強、3年以内では30%強、高卒者ではそれぞれ20%と40%の割合で退職するそうですが、人生において大変ウエイトの高い、働く事についてもっとしっかり考える事、勤める企業の価値観を見極める事は、それぞれの人にとっても大変重要な事だと思います。

ミスマッチを感じて、3年以内に辞めるのも、大変なロスですが、違う所で嫌々、やらされ感の中で
働いていくのも、両者にとっても大変大きなマイナスだと思います。

しかしその考え方も、あくまで私の考えであり、私が展開するウエダ本社として大事にしていきたいというものであって、企業によっては、大量に採用して、ふるいにかけて残る人だけが残れば良いという考えもありますし、それが間違いとも言えないと思います。

ただ、その考え方が主流を占めている中では、一人一人の違いを尊重して、その能力を伸ばして
いく世の中には向かいません。

ミスマッチを無くす為にも、自社の価値観をしっかり発信して、それに合う様な人を採用するという
姿勢の企業を増やしていく事だけでも、働くという事に対する考えや、まだまだその力が生かせていない女性、現在の枠組みで言うと障がい者と言われる人達の能力を生かせる社会になっていくと思います。

79年目から創業80年を目指していく我々が、そんな社会を広げていく為に
一日一日を積み重ねていき、100周年を迎える事ができれば、企業の価値観や日本人の働き方が少し変わったと言われる世の中になっていると思います。

79年目からも、一つ一つそんな足跡を残していきたいと思います。

2016年4月30日土曜日

人工知能で理想的な組織、町を作る

今週も色々な会が有りましたが、その中で、経済同友会で聴いた日立製作所の矢野和男氏の”人工知能はビジネスをどう変えるか”というお話は、内容、構成、皆さんの満足度という面で、私が出た今までの例会の中でも屈指のものだった様に思います。

人工知能とビッグデーターの関係性、そこから生まれるビジネスとその変化、又、人間としての幸福観など、幅広いお話を、感性とロジックという事のみならず、膨大なデーターと実験研究を合わせてのお話でした。

最近話題になった囲碁対決は、人工知能が人間を破ったという話ではなく、AIを活用した素人集団が、経験豊かな専門家を破る時代が来たという様に読み取るべきであるというお話で、ビジネスやシステムは全てAI化していくという事でした。

更に私がもっと興味を持ったのは、サービスや知的労働の革新が起こるという事で、AIが人の幸福感や生産性を測り最大化できるというお話でした。

後者のお話はオフィスや職場環境において、人をモチベートする事、交差する場や動線、コミュニケーションなどを研究し、価値を生み出す事を目指しているウエダ本社としても追いかけてきたテーマであり、それを証明して頂いたかの様なお話しで、大変勇気づけられました。

膨大なビックデーターを瞬時に処理し、それを学んでいく人工知能は凄い!ですが、考えてみれば、人間の体はもっと凄く、脳は何も命令していないのに、毎日同じ体を作っています。
生物学者の福岡伸一氏の表現を借りれば、”細胞同士が折り合いを成す”という様に、人工脳どころか、脳の指示無しに折り合いを成して勝手に毎日生成されているのです。

私が理想とする組織や、働き方のイメージはズバリそういう事なのですが、本来、人間というか生物はその様なものなのだから、企業であれ、組織であれ、或は町であれ、そんな摂理にのっとったものが一番自然なのではないかと思います。

先週行っていたポートランドという町も、何故、心地よいのかというと、誰かが利益誘導の為に、お金を投じて作ったのではなく、細胞同士が折り合いを成した様な出来上がり方の町だからかもしれません。

そう考えると、全ての物が、分子や細胞が折り合いを成しながら体系立てている中で、一部の人間という生物だけが強欲に動いて歪めていっているのではないかと思います。

そんな中、人工知能というものは、一旦強欲さを取り去り、再度元の脳に戻す様な役割を果たしているのかもしれません。

矢野氏が講演の冒頭で、人工知能の紹介で使われた映像は、ロボットが鉄棒を行うのですが、初めは動きがバラバラで全く回れないのが、失敗のデーターを分析して、動きを修正し、1分もすれば見事に回り出すというものでしたが、いずれは、強欲に駆られてバランスを失った人間の心も分析して、自動的に修正する人工知能も生んで行って欲しいものです。

2016年4月24日日曜日

ポートランド レポート



今週は日曜日から米国のポートランドに行っておりました。

 
 数年前から、ソーシャルや町づくりなどで活動して  いる人達の間では最も注目されていた都市だけ  に、ずっと行きたかったのですが、今回、副委員長  を務めている京都経済同友会のイノベーションと  大学を考える委員会での視察があり、その役割と  いうよりは、是非行きたい!の一心で参加して来  ました。

 今や全米で最も住みたい町、しかも30代を中心に  若者が住みたい町と言われるポートランドも、以前  はかなり荒んでいて、危ない町だったそうです。

 何故そこから今の様な注目の町になったのか?を  聞いていると、切欠は食、それも地元の食材であ  ったそうです。

ニューヨークやロサンゼルスなどの地価が高騰して、都心では店を出せないシェフ達が、豊富な食材に目をつけ、それを生かしたレストランを作り出した事から、クラフトマンやアーティストなど同様の価値観を持つ人が集まり、魅力的な町へと変貌していったのだそうです。


ホールフーズマーケットという全米中心に展開すオーガニック中心のスーパーにも行って感激していると、何とポートランドではその先を行っており、ホールフーズでさえ、地元のニューシーズンズというスーパーに駆逐されていっているとの事でした。




ニューシーズンズでは、オーガ ニック、無添加に加えて、 半径何マイル以内かの地元から仕 入れるという事も徹底しているそうで、そんな店が支持されるという民度というのも素晴らしいと感じました。



独立系としては世界最大と言われるパウエルという本屋さんは日本のTサイトのレベルを遥かに凌ぐ規模でした。

こんな一つ一つが、多大な投資をしてハコモノを作ったというのではなく、むしろ逆で、中身から作っていったものが、ジワジワと広がり大きくなったというイメージで、この感覚こそ日本が吸収すべきものなのですが、まだ時間かかるでしょうかね。










                                            泊まりは、そんな流れの中心でもあるエースホテルでしたが、そこでは、ホテル利用者ではない人達が、電源を使用して、仕事やネットサーフを行っていました。

そんな場が価値を生むのですが、杓子定規に決まりや皆と同じを重んじる日本で、どこまで許せるか?がポイントでしょうね。


2016年4月16日土曜日

当事者意識を持つこと

一昨日熊本で大地震が発生し、これを書いている土曜日でも余震レベルではない大きな地震が続いており、予断を許さない状況です。

とても他人事にはなれない理由が二点あるのですが、それは、以前からブログもご覧頂いている方は知って頂いている通り、阪神淡路の大震災を、やはり震度7の神戸市でまともに被災した経験がある事と、今回前日まで福岡におり、新たに九州で活動されている沢山の方と繋がった事からです。

東日本大震災から5年、まだまだ問題山積である東北の方々と共に、また熊本で被災された方々にも、長期的な視点での支援が必要だと思います。

今週は、そのお呼び頂いた、福岡県中小企業家同友会ソーシャルビジネス委員会での事を書こうと思っていたのですが、少し内容を変えてみたいと思います。

今回のお話は元々、私が良いと思うリノベの方向、在り方で最も成功されているスペースRデザインhttp://www.space-r.net/ 𠮷原住宅代表の𠮷原さんからお誘い頂いたのですが、まだまだ本業とソーシャルビジネスを別物として捉える会社が多く、その辺りの関係性というか、ソーシャルビジネスに取り組む事が、自社に役立つ事なのだと思える切欠を作って欲しいとの、ハードルの高いリクエストでした(笑)

又、2週間程前に京都で、𠮷原さんと共に、イクボス推進事業などを手掛けられている委員長の小津さん、消滅都市と言われる大牟田市の町づくりを使命とされている冨山さんと打合せさせて頂いたのですが、皆さんの活動が素晴らしい中、それこそ、私自身が、気持ちの動きのまま行って来た展開しか話できないという事での講演でした。

愛知県の中小企業家同友会さんからも30代の経営者13名が来られており、前日の町歩きから、熱心に参加しておられました。

講演後の質問でも、その30代経営者のメンバーで、初対面でも好感度が持て、話しぶりからも、素晴らしい人物像と能力が伺える方でしたが、ソーシャルビジネスという事はやりたいが、何をやればいいか?率直に言って分らないというお話でした。

聞くとその方は四代目との事でしたので、”それだけ続くという事は、とても世間(社会)に背を向けてやって来られたとは思えないので、まずは自社の中に、それだけ続いて来られた強みがあり、そこには社会に対して役に立つ要素がある筈なので、そういう目で見直してみては?とお答えしたのですが、何となく、変な話ですが、この勉強会では、却って大きな可能性を感じました。

よく話題にしていますが、昨今のソーシャル~というものには、かなり表面的、トレンド的なものが多く、何か違和感を持っていたのですが、真面目にしっかりと事業を続けて来られた会社が、そこにある社会に向けての価値を見出す事が、地に足ついた形で、実際、今後の日本を良くしていく可能性があると感じたからです。

ソーシャルビジネスというと、本業は本業として、それ以外に、わざわざ新規で、社会にとって良い事を作っていかなくてはいけない様に思われるのですが、そうではなく、そもそも社会に役立つ為に事業があり、それを永続させていこうとすると、自社だけが良いという選択肢は出てこないので、社会(世間)にとって良い存在が生まれる筈なのです。

𠮷原さんのリノベーションが好きなのは、決して、作り手の自己満足や押しつけではなく、そこに在る小さい種が自然増殖的に広がっていく感じであり、その土壌作りを行っておられるという事で、これからの日本においては、これしかないという価値創造の有りかただからです。

東京⇔地方、中央集権⇔地方自治、指示命令⇔自主・自立、大企業⇔中小企業、
標準化・均一性⇔多様性、作り手(メーカー)⇔利用者(消費者)などなど、全て同じ構図です。

私は左側が悪いと言っているのではありません。
以前の様に左側で通用する事が限られているのに、その頭で考えるのが間違いだと思うのです。

これからは右側の価値観で動かしていかないと立ち行かなくなりますし、その為には自分事と捉えていく人を増やしていかなくてはなりません。

我々は、地震や災害なんて自分には降りかからないと勝手に思っています。
何の確証もないのに。

そして悲しいかな、遠くの災難は他人事になってしまいます。

今回の地震も日本だから大騒ぎしますが、遠くの外国だと、一瞬のニュースで終わります。

その国内でも、距離が近かったり、関係性が近い人は心配しますが、その距離が遠いと、他人事になってしまいます。

私も偉そうな事は言えません。

たまたま、被災経験があり、今回も前日に九州に居たから、距離が近いだけなのですが、こんな困った事、大変な人が居るという社会課題に対して、少しでも自分事と思える様にする事、それを事業でも意識する事、それこそが、本質的なソーシャルビジネスだと思います。

一日も早い復興をお祈りしますという締めは綺麗ですが、それをよりも、多くの人が当事者意識を持って長期的に意識を持っていく事、そんなソーシャルキャピタルを増やしていきたいものです。


2016年4月9日土曜日

ソーシャルビジネスって何でしょう?

今週は色々と嬉しい事がありました。

ウエダ本社で開催して頂いている、大久保寛司さんの連続講座「いい会社実践塾」で、元タカラジェンヌの妃乃あんじさんがゲストで来られ、再会も嬉しかったのですが、約8か月の間の進化ぶりと、私も知らなかった彼女の強い思いが伝わる様に構成されていて、大きな広がりを感じて感激しました。

あんじさんは昨年の6月頃、ある方から紹介されたのですが、少しのお話の中でも、宝塚を退団し、東北の子供たちの支援を、自分の貯金を崩してまで継続して行なわれている話を聞き、何とかできないものか?と考えていました。

とは言え、この活動を助けるには、まず構成をしっかりして広める事が重要だと思い、大久保さんに紹介する為にも、京都流議定書で司会として来て頂いたのですが、その後はいつものごとく大久保さんが日本郵政を始め、糸井重里さんにまで紹介され、みるみる活躍をしていかれたのでした。

今回、そんな話を初めて直接聞かせてもらう事ができ、そこまでやっていたのかあ、と感心させられる反面、浅くしか見れてなかった事に、反省もさせられました。

大久保さんからも、最近ではイノベーター達の紹介屋の様な存在と言われるのですが、いい活動をしていれば誰彼となく紹介しているわけではなく、思いがピュアで、腹を据えて取り掛かっている人で、伝え方を分り易くできれば、多くの人を巻き込んでいく魅力のある人というフィルターにはかけていて、京都流議定書がそんな人達の飛躍の場となっている事は一番嬉しい事です。

今週は、門川市長の所に、今年の京都流議定書のご説明に伺ってきました。

第一回からずっとご出演頂いているだけでなく、ゲストなども一緒に考え、時には自らお誘い頂いた事もある程、思い入れも持って頂いているのですが、今年で九年継続している事で、これも有難い事に、今の京都市のソーシャルビジネスへの流れを作ったとまでご評価頂いています。

金曜日には、副委員長を務めている経済同友会のイノベーションと大学を考える委員会が、龍谷大学で行なわれるのも素晴らしいですが、NPOセンターや、地域創造基金を立ち上げて来られた深尾さんに経済同友会で話してもらうのも、なかなか良い交差感だと思いました。
日本においてのNPO活動の発展を支えて来られた深尾さんからは、地域でお金を回していくローカルファイナンスについて伺いましたが、ソーシャルビジネスと言わずとも、地域で根付く会社、長く継続する会社をしっかりさせていく事の重要性を再認識しました。

先週入社した新人たちは今週は研修でした。
うちの研修は、社員達で作り社員達が講師となるものですが、それ以外に、これまた今週京都で開催されていた鬼澤さんの講演にも参加させました。

何故、独自性が必要か? 

変えるべき事と変えない事 

経営理念、戦略、成果の繋がりなど、

対話を交えて分り易くお話頂きました。

ここ数年、マイケルポーターがCSV(共通価値の創造)として、本業に即した形で社会的課題を解決する取り組みを行っていくべきと提唱した事が新しい指針の様にも言われていますが、今週もこれだけ周りで、色々な事が起こり、ありがたい評価も頂く中で、ウエダ本社としてもわざわざCSV、ソーシャルビジネスなどという学問の様な話ではなく、ローカル(地域)と人に役立つ存在になりたいと感じましたし、あとはパーツを繋いでいくだけなのですが。

そう言いつつも来週は福岡で、ソーシャルビジネスのテーマで講演させて頂くのですが、偉そうに講演というより、皆さんともお話し、考えを整理してきたいと思います。

2016年4月2日土曜日

フィロソフィーを分解すると

今週は一般的には年度末と新年度という週で最盛期でしたが、スタッフはフル回転でやってくれ、現場も内務も大きな事故、問題もなく年度末を終える事ができました。

長年の課題である、個々の動きを組織力にするという事においては、初めてと言っても過言ではなく、絡み合う気配が出てきました。

現場も仕事を割り振り、チームでカバーしていたのと、内務では一番のベテランが長期に休む中、まだ不慣れな業務も、残りのメンバーで見事に乗り切ってくれました。

皆が忙しく、相手してもらえない私は、かえって来客の時間や、会合に参加する事ができ、今週も又、有り難い出会いもありました。

そんな中でも、今までに何度かしかお目に掛かっていない方が、ブログやFBをしっかり見て頂いていたり、共感するからとわざわざお越し頂く事もありました。

4月1日には4人の新入社員が入社しました。

高卒の新入社員の話は何度か書いてもいましたが、大卒の新入社員も有り難い存在で、彼は募集もしていない中、ウエダ本社に入りたいと、リリースなどを手掛けられた大室先生(京都ソーシャルビジネス研究所長)に数か月に渡って相談に行き、入社してきてくれたのです。

この数年、うちの会社では採用できる人数も少ないので、全く募集はせず、価値観を知って頂いている先生からの紹介や、希望してくれる学生を採用しているのですが、この大手志向で、中小企業が採用に苦労する時代に、大変有り難い話ですが、これも共感、信頼が、大きな価値になっているのだと思います。

企業風土を変えたい、オフィスを変えたい、というお客様が逆指名でお声掛け頂くケースも出てきていますが、これも我々の考え方に賛同してもらっている事がビジネスにも繋がってきている現れです。

ある意味、中小企業は数を追いかける必要がないので、周りに左右されず、自分の所の価値を発信していく事こそが、実は一番の攻めでもあり防御になると思います。

という事で、入社式後から始まる新入社員の研修の最初は私が担当して、ウエダ本社の理念からスタートします。

それもお題目の様な理念ではなく、何の為に生きるのでしょう?という所から、ウエダ本社としての基本理念~経営理念~経営指針~行動指針、そして、ウエダの指針から前文のついたウエダベーシック10の構成を説明するのです。

また、そんな哲学、理念という事ばかり言っていると、重い話ばかりと言われるかもしれませんが、やっぱり強い会社は、それがどれだけ継承されるかだと思います。

今週、昨年亡くなられた堀場最高顧問にご指導頂いていたクオリアの会があり、今後どうするかにおいて、ご子息である堀場厚社長にお越し頂きました。

以前から私は、これだけ見事に、親子間で事業継承、それも、それぞれのキャラクターを生かし、息子さんが新たな展開で発展をされながら、社是の”おもしろおかしく”という独特の風土が継承されているケースは日本全国でも稀有な存在だと思っていますが、創業者が亡くなり、規模もドンドン大きくなる中で、理念がどこまで継承され、良い意味で、家族的、中小企業的風土で展開できるのかは、興味ある所です。


哲学=フィロソフィーとは、phiro=”愛する” sophia=”知識” というギリシャ語から来ているらしいのですが、堀場社長のお話を聞いていても、素晴らしいと思う会社は、人(ステークホルダー全て)を”愛し”、人の可能性を信じる事に”知識”を向けている様に感じます。

おかしくなっていっている大企業は、数字を”愛して”、それを最大化する”知識”にばかり目を向けていたのではないでしょうか?

我々としても、今週入ってくれた新入社員も含めて、本来の意味のphilosophyを皆で共有していきたいと思います。


2016年3月27日日曜日

人間関係資本を増やす生き方

今週もありがたい事に、人間関係資本を強く感じる事ばかりでした。

来月、福岡中小企業家同友会のソーシャルビジネス研究会にお呼び頂いているのですが、その講演内容などの打合せで、冷泉荘、山王マンションという、リノベーションでは有名な物件のオーナでもある吉原さんと委員会の方々にお越し頂いていました。

𠮷原さんのリノベーションは、単に、設計で形を作ったというものではなく、ビルの味を生かして、そのビルに意味を持たせ、それに合う人やテナントをじっくりと作っていったというもので、正に、人や繋がりを価値にしたリノベーションの代表だと思います。

その𠮷原さんが所属されるソーシャルビジネスの委員会での講演という光栄なお話なのですが、まずこの事自体が、繋がりや、そこに至る想いが価値を生んでくれたと思います。

同行して来られた方々も、お話を聞くとそれぞれの活動が、やはり人の繋がりを生かしたもので大変素晴らしく、その方々の前でお話をするのは、相当ハードルが高く感じました。

今週には、ガイアの夜明け放送直後のDariKhttp://www.dari-k.com/の吉野さんと、食事にも行きました。

以前から、何度か顔を合わせて、プレゼンなども聞いた事はありましたが、じっくり、しかも二人で話をするというのは初めてで、最近のイノベーターでもピカ一とは思っていましたが、これまでの経緯やそれに対する考えをお聞ききし、卓越した知力、胆力、行動力、加えて、そんな能力がありながら、人を惹きつける謙虚さまでを持つ彼に感服しきりでした。

又、チョコレート製造も、インドネシアで知ったカカオ農家がその価値に気づかず、ただただ食べる為だけに、人生を半ば諦めた感じで顔を曇らせて作業をする姿に憤りすら感じ、彼らの働き方や生き方を変えて欲しいと思ったからだとの事でした。

他にも沢山いるイノベーター達とも少し違う感じを受けていたのですが、まだまだ30代半ばなのに、生きるという事や、生命、人とは?という所から湧き出て来る感覚を持っている所に、ホンモノを感じるからだと思いました。


土曜日には、やはりその生き方から尊敬するアミタホールディングスの熊野会長の、サプライズの還暦お祝いパーティーに出席させて頂きました。

まだ環境などという概念が全く無かった時代から、リサイクル、循環型社会を作るという事を目指されたのですが、それは、お婆さんに育てられ苦労をして来られた会長が、自分には捨てられたという想いがあり、捨てられる物に対する、執着というのか、捨てられる様な不必要な物など無いという強烈な反発心からでした。

それだけに、人を信用したいが信用しきれないという葛藤を抜け、環境という分野で上場までさせ、様々な体感、確証から、特に3.11以降は自然資本と人間関係資本の増加に資する事業のみを行うと宣言されるに至っていました。

そんな会長の経緯も、何度も食事などを共にさせて頂きながら直接お聞かせ頂いていたので、還暦の祝いは要らないと仰っていたにも関わらず、社員さんが数か月前から用意もされ、サプライズパーティーまで用意されていたという事に、私も、本当に嬉しかったのと共に、会長の様に、生き方が恰好いい男になりたいと思いました。

これ以外にも今週も色々な素晴らしい方々と会い、話しもして、私も本当に恵まれていると思います。

そんな人間関係資本が蓄積してきているので、それを私自身が、企業会計で言えば、回転率を上げてパフォーマンスを高めていかなくてはならないですし、その為には、私自身も、格好いい生き方をしていきたいと思います。





2016年3月20日日曜日

扇動されない個人

ここ最近、保育園落ちた・・の話題や野球界のお金の問題などが、話題となってますが、それこそ、日本は、どうかしてないでしょうか?

短絡的、表面的な話で、違う問題を混ぜこぜに議論?し、一方方向に扇動する方も問題ですが、扇動される側も憂うべき問題だと思います。

反対であれ、議論というレベルであれば健全なのですが、問題は、一言の印象だけで一挙に悪者に仕立てられる、追いつめて行く風潮であり、それに多くの人が乗っているという状況で、マスコミが又、知ってか知らずか(知らずであれば、それはそれで、深刻なレベルですが)、こぞって助長させるというレベルが深刻であり、もっと冷静に、問題の本質は何かを考える様にしなくてはいけないと思います。

保育園の話は、個人のネット上の愚痴であり、それを何か意図を持った人が拾い上げ流れを作ると、後は、その方向に扇動されてしまう、ネット(SNS)社会の負の恐ろしさを感じます。

巨人選手の野球での賭けという問題から、チーム内で賞金や罰金を出して半ば盛り上げる為に行なっている事を同じ問題の様に取り上げ、阪神でも・・ソフトバンクでも・・という見出しで書くマスコミの短絡的な報道を見て情けなく思っていると、”お金を掛ける”というその言葉だけで混在し、その流れに乗ってしまうという問題、又、そうなっていくとそこに異を唱えられない様な風潮にまでなるという事を、もっと憂慮すべきです。

リーダーシップを勉強すると、リーダーは誰にでも分るシンプルな言葉で伝えなければならないとなりますが、米国の大統領選を見ていても、どこの国の人も、ちょっとした話法で扇動されるのだと感じます。

それだけに、扇動型リーダーを選ぶ際は、よりその人の器を見極め、理念、哲学をしっかり見極めないと、取り返しのつかない方向に進んでしまいます。

しかし、おしなべて、どの世界でも、度量を持った人が少なくなって来ている中で、扇動型、扇動する手法というものは危険も大きく、それだけに余計に受信側もレベルを高めないといけないと思います。

土曜日には、KYOCAで京都移住計画さんのイベントがありました。
そこには、移住を希望する人、移住した人が集っていましたが、今や全国に広がりを見せる移住計画は、各地にある魅力に目を向ける視点、機会を与えていっています。

同じ日に開催されていた京都市100人委員会のNEXTフォーラムは、5期に渡った100人委員会の市民メンバーが集まり、今後を話し合うものでしたが、自分事とする京都市民の広がり、活動が確実に根を張り、ジワジワと広がっているのを感じました。

扇動型リーダーに委ねられない時代、我々自身が受信者としても、表面上の短絡的な言葉に囚われるのではなく、深く捉えて自分事として考えていく事が重要ですし、マスコミなども、そんなジワジワとした気配も含めて、しっかりとした文脈を伝えて、育てる役割を担って欲しいと思います。

その為には、又、我々が、売りたいが為の下世話な週刊誌の様な記事や風潮に短絡的に乗らず、馬鹿にするくらいの姿勢になるだけでも、流れは変わり出すと思います。

国民、市民、消費者、従業員、という個人も、一人一人の考え、行動の重要性に気づいていきたいものです。

2016年3月12日土曜日

残りの命の使い方

今週はやはり東日本大震災が起きて5年という事で、やはりそれに触れないわけにはいきません。

よく言われる話で、何年というのは周り、特にマスコミなどが言う話で、当事者にとっては、使い方は間違いでないにしろ、イベント的なニュアンスをも感じる、5周年という感覚などは無いと思います。

マスコミの功罪はありますが、ともすれば、被災していない地域や人の中では風化してしまいがちな中、何年目で思い出すこと、少しでも問題意識を持ち心を寄せること、そしてできる行動を起こすことに繋げる為にも、やはり報道は必要だと思います。

阪神大震災で被災した際、翌日10時間程かけて京都の実家に戻り、自分が正に抜け出して来た地域が大変な状況になっている光景を、そこから逃げて来て炬燵に入ってテレビで見ている事に、内面がえぐられる様な罪悪感を感じましたが、震災の特集番組を見ると、同様の想いに駆られます。

全てを投げ出し、一人でそういう地に身を投じたいという想いも何処かに有りながら、自分の立場や、自分がそのポジションでできる使命を全うすべきという想いで抑え込んでいるものが、腹の底でボコボコ湧き出す感じなど、色々な想いが錯綜し、苦しくなります。

最近もこんな暗いというか、深い話をする機会が何度かありました。

私なり、ウエダ本社としての展開が、何をやってるんだかよく分からないと言われる事は多いですが、説明しなくとも、分かってもらえる事も結構あります。

それを分析すると、死生観がベースにあって、何の為に生きるのか?からの発想で展開をしておられる人とは、簡単に説明できるというより、むしろ説明は要らずに済むのです。


ソーシャルビジネスというものに、好感が持てる場合と、逆に、嫌ーな感じを受ける両面があるのもそんな所から来ているのかも知れませんが、そもそも、何の為に存在して、どういう使命を果たすのか?それをできるだけ大きな力に仕立てる為に、事業でそれに向かうというのがソーシャルビジネスだと思います。

ソーシャルビジネスが儲かるからと参入して行ったり、そうでないと評価されないからとCSRとして取り組んだり、今は、ちょっと格好いいからと流行りになっていて、又、それを持てはやす傾向もありますが、上辺が同じ様に見えても、この死生観でフィルターに掛けると、そもそもかツール(手段)として利用しているのかがよく分ります。

必要悪ならぬ必要善?として、ツールや手段でも広がっていく事は世の中にとっては良いのですが、そもそもの想いを持った人が、ツールとしてソーシャルビジネスに向かう人達に使い捨てにされない様に、しっかりした意識を持って欲しいと切に願います。

震災の特集などを見て、悶々とする想いを持ちながら、それを払しょくしてく為にも、死生観をベースに行動していく人と共に、残りの命の使い方を探していきたいと思います。

2016年3月6日日曜日

サーバントリーダーシップで

米国の大統領選において、当初トランプ氏が旋風を巻き起こしているという程度の認識から、一気に主役となり、今では、このままではマズイのでは?という動きが共和党からも出てきている状況です。

元々約1年にも渡って全米を転々として各党で予備選挙を行うというスタイルは、独裁者を生まない仕組みとも言われていますが、今回は、それが利いていないというより、それに乗る国民が多数を占めてきているという事に恐ろしさを感じます。

それも、発展途上国ではなく、一強とも言われてきた米国の大統領ですから、注目しなければならいですし、トランプ氏が大統領にはならなかったとしても、それだけの米国民が、あの暴言に、強いアメリカを期待したという事実は、選挙が終わっても、注視していかなくてはなりません。

貧困やそれをベースとした世界中の諸問題などへの不安や、不満が充満してきており、偏向した強いリーダーシップ、愛国心に向かっている様に感じます。

リーダーシップの形には正解がなく、その状況に応じて全て違うと思いますが、世界の警察とまで名乗って全世界にも多大な影響を与える国のリーダーは、まずもって、人類全てに想いを馳せられる様な人格を一番重視した選び方ができないものか?と思います。

日本では3.11から5年を迎え、今の様子も報道されますが、原発の対処などを見ていると、逆に強烈なリーダーシップと同時に、こちらも人類全てに想いを馳せられる様な人格を持ったリーダーが切望されます。

しかし一方で、政治の世界だけでなく全ての領域で、大人物と言われる様な強烈なリーダーシップで皆をリードする支配型のリーダー自体が居なくなってきた事と、価値観が多様化する中で、その様なリーダーシップは通用しなくなってきています、

サーバントリーダーシップというものが注目されていますが、サーバントという様にリーダーが召使の様に言う事を聞くという意味ではなく、支配型に対して支援型のリーダーシップとも言われる様に、部下たちを使命、目標にしっかりと向かわせる為に、支えて援助していくものです。

実は、なかなかその様に見えないでしょうが、ウエダ本社内でも私自身は、サーバントリーダーシップ型を目指しています(笑)

そして、その様なオペレーションで回る組織や、風土、を作っていく事が、前回のブログでも書いた様に、女性が働きやすい環境となっていくと思っています。

又、このサーバントリーダーシップというものは、本来、女性の方が向いていると思いますし、支配型で優秀なリーダーが少なくなってきた今や、本来サーバントリーダーに向いている女性が、そのリーダーシップを発揮できる社会のフレームを作っていく事が、世の中を大きく変えていく事に繋がると思います。

そんな事も、新たに株式会社Megami http://www.ueda-h.co.jp/megami/service.htmlの設立に繋がった理由です!、と、最後はMegamiの広報となりましたが、米国の大統領選でも、クリントンさんは、男性社会の中で戦う強い女性という打ち出しではなく、サーバントリーダーシップを発揮した新たなリーダー像を出した方がいいのではないでしょうか?


2016年2月28日日曜日

働く女性の環境を整える 株式会社Megami 誕生!

3月1日女性が働きやすい職場を創るという事を目的とした会社(株式会社Megami http://www.ueda-h.co.jp/megami/index.html)が発足します。

働く環境の総合商社と銘打って、人にSPOTを当て、人を生かした経営をする会社を増やす事を目指すウエダ本社としても、新たな展開で楽しみです。

日本のオフィス、職場環境、働き方を変革していくこと、それがウエダ本社として、創業からの背景をなぞらえながら、今後の使命としていくべき方向として取り組んでおり、その際たる課題が、女性の活躍であり、政府も力を入れているところです。

ただ、先日も京都市の目玉でもある”真のワークライフバランス”の推進委員の皆さんを前に、”制度だけでは駄目で・・”と果敢にも(笑)お話させて頂いた様に、そもそもの企業(組織)文化、考え方、組織風土を変えていかないとなかなか進んでいかないと思っています。

男性社会で構成された企業(組織)のフレームのまま、女性を入れていくだけでは、その中で対応できるごく一部の人だけが活躍できるだけで、抜本的な解決にはなりません。

社会ネットワーク分析でホモフィリー(同質結合原理)という考え方があるそうです。
それは、同じ様な属性を持った人と繋がるということですが、難しい話でもなく、保育園などで観察すれば、よく分るそうです。

初めは年齢で集まり、その後は性別で分かれて、意識がハッキリしてくると外見や雰囲気が影響していくのですが、その観点で考えると、日本の企業(組織)は、完全に男性のホモフィリーが形成されており、その中で女性が入り込んでいくという事は、上司の理解、というレベルの話ではないのです。

ウエダ本社としてもその問題を、男性のホモフィリーの中で考え、女性スタッフに担当してもらっていたのですが、やはり無理があり、その概念を使って言えば、女性のホモフィリーを形成し、それを広げていく事、そして男性のホモフィリーの中に入るのではなく、形成された女性のホモフィリーで
崩していき融合していく事を狙って、この問題に取り組んでいた団体に出資し、ウエダ本社グループとして展開をしてもらう事となったのです。

男性か女性か、日本人か外国人か、外国人でもアジア人か西欧人か、健常者か障がい者か、などなど、意識できないほど違うホモフィリーが入り混じる事が、組織風土の閉塞感を打破し、組織をイノベーティブに向かわせる方法だと思います。

そんな企業(組織)を増やす事、そんな社会を創る一助を担う事を目指して、ウエダ本社としても弾みをつけていきたいと思いますので、まずは、このMegamiをよろしくお願い致します。

そんな難しい話はさておいても、男性のホモフィリーである当社の7階建てオフィスビルの真ん中(3階)のフロアは、既に沢山の乳幼児とママ達が出入りされていて、その光景だけでも一度覗きにお越し下さい!

不確実な時代、まずは企業・組織(オフィス)の硬直性を打破しませんか?




2016年2月21日日曜日

戦略とは?本物とは?

今週はトップフォーラムという勉強会が京都であり、お招き側ではありながら、個人的に大変有意義な時間を過ごさせて頂きました。

2年1クールの勉強会の間で、1度は必ず京都で開催され、それが必ず2月であり、うちの会社にとっては年に一度のXEROXの年間表彰式と重なるので、地元開催でありながら毎回欠席しておりました。

それが今年は、講演をお願いするゲストスピーカーのお二人ともが私の紹介という事もあり、XEROXさんにお話をし、勉強会を優先させて頂く事にしました。

そのお二人というのは、反原発や環境など様々なNGO活動などを行われている田中優さんと、いつも大変お世話になっており、尊敬する経営者であるアミタホールディングス会長兼社長の熊野さんでした。

実は、ゲストが私の紹介だからというのは表向きの理由で、裏目的は、環境面ではそれぞれに独自の組み立てられた理論をお持ちの二人の意見に、会員側もカルビーの創業家である松尾さんや伊那食品工業の塚越会長など論客ばかりですので、どの様なコメント、反応をされるのかを見たくて、という事がありました。

特に、3.11以降、自然資本と人間関係資本の増加に繋がる事しかしないと定款変更をし、本社を京都に移転されたという熊野会長は、環境や勿論リサイクルなどという概念自体が無い頃から、
無駄な物は無いという信念でリサイクル、循環をし、廃棄物を資源に変えるというビジネスを作り上げて来られ、しかも、それを上場までされて来られたという稀有な方ですから、その方と、やはり理念経営という点においては最高峰であると思う塚越会長の絡みは、ワクワクするほど楽しみでした。

断片的にはしょっちゅうお話を聞いている私も、これまでの展開を体系立てて時系列で聞いた事がなく、大変良く分りましたし、あまりの完璧さに、結果的には、皆さんも質問のしようがなかったという感じでした。

企業は、その存在意義から、哲学、理念を実践に落としていくのですが、あくまでも事業ですから、しっかり利益も出していかなければならず、そのどちらが欠けても長期的には難しいですが、その両輪を動かし、幾度の苦境も乗り越え実績を上げておられるのですから、メンバーの皆さんも、何も言い様がありません、という感じでした。

講演からの議論白熱を期待していた私は、ちょっと残念な感もありましたが、少し領域が違う中で、それぞれで尊敬する人が出会う事、その存在、凄さを知って頂く事が何よりも嬉しいので、本当に気持ちの良い勉強会でした。

今までどれだけ言われたか分からない”何の為にやってるの?”という質問やお褒め頂く事に、人を繋げるという事があるのですが、改めて、単純に自分が素晴らしいと思う人同士が繋がってもらうと嬉しいだけで、言わば趣味なのだという事も改めて分りました。

熊野会長は、捨てられるものを資源化するという事に挑戦され、無から有というより、マイナスからプラスを生むという事を実現して来られたのですが、「有る物を奪い合うより、無い物を作る」という事を仰っておられました。

世の中の戦争の原因の一番根深いものは、資源の取り合いから生まれるものです。

その資源の問題を解決できれば、多くの戦争が防げると思いますが、企業においても正にこの、”有る物を奪い合うのではなく無い物を作る”という事が、戦略なのです。

戦略とは、戦う策(略)の事ではなく、戦う事を略する為の策です。

有る物を奪い合うのではなく、無いものを作っていく、気概を持った経営を改めてしていきたいと思いました。

翌日の京都観光も同行しましたが、案内というより、行った事のなかった石清水八幡宮を同じ京都メンバーの人見さんのお蔭で、堪能させて頂きました。

今回は改めて本物を体感させて頂いた勉強会でしたが、来年は、もうちょっと本物の力を供えて、XEROXさんの表彰式に向かいたいと思います。

2016年2月13日土曜日

真のワークライフバランスから考えるリーダーの仕事

今週末は、関わり方、内容共、バラエティーに富んだセミナーがありました。

まずは、京都市の職員の方に向けて講演させて頂く機会を頂いたのですが、これは京都市が力を入れる「真のワークライフバランス」というプロジェクトで、全局からその役を任命された方々約120名を前に、ウエダ本社の考え方をお話させて頂くという、大変光栄なものでした。

様々な人を交差して生まれる価値や、制度ではなく風土や土壌作りが大事と唱えて行なっている我々の活動を、縦割りで、制度を作り執行するという役割の行政の方に話するのですから、伝えるのはなかなか難かしいものでした。





同じ日の夜には、大久保寛司さんのセミナーがウエダ本社で開かれました。
これは我々の主催ではなく、京都の若手税理士の中田さんが主催されたものだったのですが、しっかりした価格設定のセミナーでありながら満席の集客力、しかも、来場者の多くの方が、大久保さんの事はご存知ないながら、中田さんの薦めで参加したという方ばかりで、人を呼ぶ、巻き込んでいくポイントを見せて頂きました。

ほぼ初めてという中ですから、大久保さんも、いつも以上に丁寧にお話されていた様に思います。
何度も聞いているお話が、ビシビシというより、グサグサっと刺さりました。

改めて書いてみれば

・大久保さんの見る良い会社の定義は、社員の目が輝き続けている会社である。
・その良い会社の共通項は、挨拶がしっかりしている事と、会社が綺麗な事である。
・本物は360度 いつでも、どこでも、誰と(誰に対しても)でも、同様に素晴らしい
・職場の雰囲気を良くすれば必ず業績は良くなる 雰囲気は仕事力
・職場の雰囲気を良くするには、TOPは率先して皆の雰囲気を良くする
・相手が思った姿が貴方自身(人は見た目が全て)
・正しい事を言うのが仕事ではない。言った通りに動いてもらうのが幹部の仕事
・何故やらない!! -相手にはそうする理由がそれなりにある。
・聞ききる、言わせ切る、・・言ってもらえる自分であるか?
・言葉の奥にある心を見る
・正しい内容を教えるのではなく、正しい内容を実現する事をリードする。

まだまだありますが、言わている事は当たり前の事ばかりです。

ただそれが、丁度その直前に自分がしていた講演との対比から、伝え方、伝わり方の差というものを痛切に感じ、素晴らしいリーダーというものは、”誰でもが同じ様に分る言葉を放つ”というお話に、撃沈されました。

言う事は誰でも言えます。
問題はやれるかどうかで、リーダーは、それをやってもらわないといけないので、如何に伝えられるか?気づかせるか?自ら動いてくれる様にできるか?が仕事なのです。

と今更!でもないのですが、分かっていましたが、改めて、行動を変えようと反省しました。


土曜日には、ウエダ本社で、こども未来探求社さんとのコラボセミナー”親子保育園”を開催しました。

この日は、月に一度ある土曜出勤の日でしたので、通常営業をしている中、0歳~2歳の子供たちがビルに出入りしている光景は、微笑ましいものでした。

一億総活躍、女性活用、育休、イクメン、国も企業も色々な策を講じていきますが、こういう場を設けていると、当たり前ですが、皆、事情、状況は違うので、育休を与えれば良い、お父さんが休めれば良いというだけの問題ではない事がよく分ります。

「真のワークライフバランス」 この問題を掘り下げていくだけで、様々な日本の課題の共通項に行きつく様に思います。

その”雰囲気”を京都から作っていければと思いますし、京都市の方にお話させて頂いた中で、一人でも何かを感じ、行動に移してもらう事ができれば、私の”仕事”ができた事になるのですが、どこまで伝わったでしょうか?

親子保育園を主催する小笠原さん曰く、最も言う事を聞かない、思い通りにならないのが子育てなので、企業TOPや幹部の方も親子保育園を通して子育てを学べはいいのではないか?との事でした。

”何故分かってくれない”、”何度言えば分るのだ”、そんな感情に陥る事は多々ありますが、子育て、人育てというものはそういうものなんですね。

やはり社長は、社員を家族と思って、人育てする事、それが一番の仕事なのかも知れません。

2016年2月5日金曜日

報奨旅行で思うこと

 
先週土曜日から、シンガポールに行っておりました。


富士ゼロックスさんの特約店に対する報奨旅行で、うちの会社は、毎年五名程、海外旅行に招待して頂いており、社員と共に参加させて頂いておりました。

通常、この種のものは、販売員のインセンティブの為に設けられているのですが、うちの場合は、コピー販売の者だけがその様な特典があるのは不公平との事から、ゼロックスさんにもお願いをして、他の社員にも順番に回しています。
又、メーカーさん的には、オーナーや事業責任者に向けてのインセンティブでもあるのですが、これも、できるだけ社員に回すという目的から、わがままを言って、私は、都市部の時だけの参加で、リゾート地の時は社員に回させて頂いています。

そんな事で、もうウエダに来て10数年にもなってしまいましたが、以前に行った、韓国、台湾、香港・マカオについで四回目の参加でした。




起業するまでギャンブル好きであった私の事をご存知の方からすると、カジノのある時だけ参加している様な誤解を受けるでしょうが、そんな事情から、たまたまです(笑)


カジノがある所へ行くと、日中の行程に加えて夜からの行程がプラスされるので、ずっと遊んでいた感がありますが、社員と共に、非日常の事を共にするのは、違う面も見れたりして良い経験をさせて頂きました。







以前は我々の業界は、こういう会や旅行なども頻繁にあり、ゼロックスさんだけでも、どれだけあるの?という感じでしたが、時代と共に、殆どのメーカーがそういう会を廃止や休会となり、めっきり少なくなりました。

私は接待一切禁止、少しでも驕ってもらう様な事があれば、即刻クビという様な会社でサラリーマン時代を過ごした事もあり、この手の接待的な事は、本来は要らないと思っているのですが、何でも同じですが、白か黒かのどちらかという事はないので、良い所も無くしてしまっている事もある様に思います。

シャープさんが産業革新機構ではなく、鴻海への売却の方向へ向かいそうです。

私がウエダ本社に来た頃、シャープさんでも代理店会があり、並み居る大手家電店のTOPに交じって、むしろ、うちの会社の方が良い扱い(席配置)をして頂いて、驚いて聞くと、電卓が発展の切欠であったシャープさんにとって、その初めに担いで販売したウエダ本社を含めて数社は、シャープにとっては別格なのです、と言って頂いて感激した事を思い出します。

実際、その言葉の通り、歴代の社長は会社にも来て頂いていましたし、10年程前に、町田会長などにもお目にかかった際も、私の親父の事も知って頂いており、当時の事を知っているのは、自分が最後だとその頃から仰っていました。
そんな良い部分も、世界の巨大企業との戦いで、無くなっていったのではないでしょうか?

まだ、こんな報奨旅行に呼んで頂いている間に、うちの会社も再度、そんな大メーカーさん、大企業さんに、ウエダ本社は別格だと言って頂ける存在に再び戻りたいと思います。


2016年1月24日日曜日

野心と志の差

今週京都では、この時期恒例のJC(日本青年会議所)京都会議が開かれており、全国のJCメンバーが京都に集まっておられました。

と言っても、私はJCメンバーではありませんでしたので関係ないのですが、今年は、色々と便乗させて頂いておりました。

毎年、それに合わせてOBを中心に開催される鬼澤さんの勉強会には参加させて頂いているのですが、その勉強会も昨年からはKYOCAで行なって頂いている事もあり、役得で勉強させて頂いております。
今年はそれに加えて、国際会館で行なわれているフォーラムにも、基調講演には昨年の京都流議定書にご登壇頂いた田坂広志さん、国際貢献のフォーラムには、昨年ご紹介頂いていた”アフリカの花屋”として展開する萩生田愛さんが登壇される事になっていましたので、挨拶も含めて、本丸のイベントにも「潜入」させて頂いておりました。

国際会館全体で全国から集結した数千人ものJCメンバーが、三日間フルに使って様々な催しを行われている場ですので、JCを経験していない者からすれば、その独特な雰囲気も、なかなか興味深い体験でした。

田坂さんのお話はいつも、何となくボやっとながら思い続けている方向性、目指すべき未来像を分り易くご説明頂き、クリアにして頂けるのと、この方向は正しかったのだと、お墨付きを頂いた気になり、勇気づけられて、スッとした気持ちになります。

この日は、田坂さんのお話の後、元サッカー日本代表監督の岡田さんとの対談もあり、岡田さんのサッカーを通した日本や、次世代への想い、そしてそれに向けた挑戦のお話も聴く事ができました。

J1チームからも全権を任せるというお話がいくつもありながら、日本のサッカーの”教育”を抜本的に変える必要を感じておられた事から、全く教育されていない社会人チームで一から挑戦しておられるお話、そして田坂さんと共に、40歳以下のJCメンバーに、自ら行動を起こす必要性を語られる姿を見て、自分自身、反省すると共に、焦燥感にかられました。

いみじくも田坂さんが、物理は大きな物は動かしにくいが、心理は大きな方が動かし易いというお話をしておられましたが、ここ最近の停滞感は、私自身の想いが小さかった事が原因だと思いました。

岡田さんは、自由奔放にやっていると思っていたスペインの一流選手達にも型があり、16歳までは徹底的にその型を教えて、後は自由に考えるというスタイルを知り、抜本的に日本の教育、指導を変える為に、プロではない社会人チームのオーナーとなり、”生物的組織”を作り上げる事を目指しておられるのです。
人間の体は、毎日細胞が作り変えられていますが、それは脳が指令するのではなく、細胞同士が折り合いを成して同じ体を作っているという事で、その様な組織、個々の関係性がサッカーにおいては重要との想いからなのですが、私も、会社と社員の関係、働き方の理想は、同じイメージを持ちながら、停滞感を感じる結果になっていました。

田坂さんは”野心”と”志”の違いを、己一代で成し遂げようとするものが”野心”で、”志”は、己一代では形にできるものではなく次世代に引き継がれていくものとお話されていました。

自分の地位や物質的な物を追っていたつもりはなく、使命感で動いてきたつもりでしたが、野心の域を越えられず、志にはなってなかったのだと思います。

帰宅後、何と、田坂さんから携帯にお電話頂きました。

講演が始まる前に、ご挨拶に伺ったのですが、大きい会で担当が細分化されており、全体的把握している人がおらず、田坂さんには会えずに名刺だけを置いていったのですが、”入ってくれれば良かったのに、悪かったね、”との事でわざわざお電話頂いたのでした。

こんな細やかな配慮も、謙虚なお人柄というだけではく、”野心”と”志”の差から生まれてくるものなのかも知れません。

今年の京都会議は、大変、勉強させて頂きました。

実践塾でお世話になった、鬼澤さん、人見さん、大江さん始め、京都会議を運営されたJCの皆さん、有益な会に参加させて頂き、ありがとうございました。

2016年1月17日日曜日

人ととしての報酬

今週、知恵の場で聞いた、日本のホスピタリティの元祖的な力石先生のお話は、書き起こすと、当たり前の話になるのですが、45年の実績と、実践を積んでこられたからこそのホスピタリティ溢れ出るお人柄で、当たり前の事がやはり重要という事を再認識させられました。

2020年に向けても、日本のおもてなし力、ホスピタリティが重要と言われ、ホスピタリティ産業とまで言われていますが、1970年代、まだサービス産業という言葉もなく、客商売と言われる頃から、この分野を切り拓いて来られた力石氏は、ホスピタリティ産業は心の共有業で、利用されるお客様と心の共有ができるか?だと言われます。

自分達が楽しくしていない中で、お客様に楽しんで頂けるか?

顧客満足をという前にはそれを実現する社員満足が重要。

ホスピタリティ産業、経営品質を目指す企業などでよく言われる話です。

力石氏は、挨拶や、時間を守るという事、身だしなみをしっかりするという基本的な事がしっかりできない中、ホスピタリティなど生まれないし、売上やノルマばかりをいう企業も、それを作り上げる”人”が、そんな基本的な事ができていない中、うまくいく筈がないというお話でした。

スターバックスは、サードプレイスという、自宅でも職場でもない第三の場所を提供する事を掲げて成功を収めてきたのですが、その様な場を作り上げる事が彼らの目的であり、コーヒーを売るのはその為の手段なのです。

”いらっしゃいませ” ”ありがとうございました” と言う、元々の目的は何でしょう?

それは、沢山の店がある中、我々の店にお越し頂いて、ようこそ”いらっしゃいませ”という事であり、”ありがとうございました”という事なのです。
この事が分かって、或はそういうつもりで、コーヒー一杯を”どうぞお楽しみください”と置くかどうか?が、心の共有ができるホスピタリティ産業の仕事か、単なる作業の違いなのです。
と、力石氏は仰います。

確かに、その差を創り出していくには、日々の人間教育というか、スタッフの人間力の差であり、挨拶をしっかり気持ち良くする、とか、時間を守るなど、当たり前の事を徹底していく事が何よりも大事で、又、そんな事をしっかり行える様な人間に磨かれていく事が”仕事”というものの、他では得られない人としての”報酬”なのではないかと思います。

”報酬”と言うとどうして?と思われる方もおられるかもしれませんが、そんな教えを受けて会得された方とそうでない方の、たった、コーヒー一杯を差し出すという行為の違いを想像してみると、間違いなく、そういう教えを会得され、そんな意識で仕事をしておられる方は、大袈裟でもなく、指先まで神経が行き届いて、立ち居振る舞いが綺麗であるだろうし、そんな綺麗な人に磨かれるのって、他では得られない大きな”報酬”ではないでしょうか?

女性であれば特に、綺麗になる事には、お金を割いて率先されますが、男性でも武道などで精神修行されたりもします。

そんな中で、仕事はお金をもらって、しかも、誰もが自分や家族の人生を作り上げる為のお金を得ながら、自分磨きができるという”報酬”も得られるのですから、こんな素晴らしいものはないと思います。

働く環境の総合商社として、再度、原点を見つめて、当たり前を見直したいと思います。

”当たり前”ですが、まずは、私自身の社内の挨拶から、心を込めて改めます(笑)


2016年1月10日日曜日

グローバルではなくユニバーサルで

今週は、賀詞交歓会、年始の挨拶、訪問、新年会という一週間でしたが、停滞していると言いつつ、皆さんの雰囲気も、概ね2020年頃までは、良くなっていくという感じでした。

今年は十干と十二支の組み合わせの干支で言えば丙申(ひのえさる)ですが、申という字は、樹木の果実が熟して固まっていく様子を表すそうで、固まるのは困りますが、未来に向けての新しい果実が実っていく事を望みます。

その雰囲気とは裏腹に、年初から中東、朝鮮半島などで物騒な動きが広がり、中国経済への不安も絡んで、日経平均株価は年始から5日連続の下落でスタートし、これは平均株価を出す様になってからのワースト記録だそうです。

この裏腹さは何なのでしょうか?

確かに、インバウンドが凄まじい勢いで伸び、観光関連を中心に活況を呈しており、2020年までは間違いなく伸びていくでしょう。

日本の様々な価値は、今まで当たり前に思ってきた物やサービス、思いもよらない場所や、カルチャーなどが脚光を浴びて、海外の評価から再認識するケースがドンドン起こってくるでしょう。

その中で、今後の人材はグローバルな視点を持たないといけないと言われますが、日本で言われるグローバルという感覚が、何か違う様に感じます。

グローバルという単語はグローブからきており、”球”というニュアンスの''世界”ですが、日本で語られるグローバルは、何か平面的で、平面的であるが故に、グローバル感覚というものを何か別物と捉えている様に感じてなりません。

当たり前ですが、地球は繋がっており、ましてやネット社会において、ドメスティックかグローバルかなどという分け方はなく、そういう意味ではユニバーサルという言い方が適切ではないかと思います。

そのユニバーサルにも色々な訳がありますが、使うなら世界という意味ではなく、宇宙でもなくもっと根源的に、万物の、という視点が重要になってくる様に思います。

そんな視点から見れば、ドメスティックとグローバルでの裏腹さも感じず、日本にとってや、世界にとってでもなく、人類にとって進むべき道が見えてくるのではないでしょうか。